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最近読んだ本 [歴史]

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「魔将軍」というとまず連想するのは、「デビルマン」に登場した「魔将軍ザンニン」だ。
だがこの本の主人公はザンニンではなく、室町幕府第6代将軍足利義教だ。
それほど評価が高い将軍とは言えない。
中学校の歴史で出てくるのは初代尊氏、3代義満、8代義政くらいだ。
高校の歴史で出てくるのは、4代将軍義持の死後、くじ引きによって将軍に選ばれ、勘合貿易を再開し、鎌倉公方足利持氏を滅ぼし、嘉吉の乱で暗殺されたくらいだろうか。
しかし、この本を読んでいると、もっと再評価されるべきだということが思えてならない。

関東と九州を完全に支配下に置いたということは、一般に室町最強の将軍と言われる3代義満にも成し遂げられなかった功績だ。
守護大名の家督相続に介入して完全に取り込み、宗教を笠に着て横暴を繰り返す比叡山延暦寺への徹底した態度など、将軍権力の強化に努めた。
将軍の親戚であることを利用して好き勝手に振る舞った者やそれに取り入ろうとした者を徹底的に処罰するなど、強化した将軍権力への「縁故」を許さない公正無私な態度もとった。
小説ではあるが、基本的な出来事は歴史上の事実だ。
将軍権力の弱さが混乱を呼び、戦国を招いたことを考えれば、義教が殺されなければ、戦国時代は来なかったかもしれない。
もっと高く評価されるべき人物だ。
そんな思いを強く感じさせてくれる作品だ。
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